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イベントレポート:\伊豆長岡温泉ミライ大学 #06/ 大学生が考える地域とまちづくり〜都市再生に向けたまちづくりの取組~

2022年2月23日(水・祝) に伊豆長岡温泉ミライ会議および一般社団法人伊豆長岡温泉エリアマネジメント主催で地域課題解決プロジェクト型ゼミイベント「 \伊豆長岡温泉ミライ大学 #06/ 大学生が考える地域とまちづくり〜都市再生に向けたまちづくりの取組~」が開催されました。
地域で暮らす人・働く人、出身者、地域外から伊豆長岡温泉に関わりたい皆さまで作り上げるオンラインイベントです。
今回の記事では当日のイベントの様子をお伝えします。

■今回のイベントゲストプロフィール

野原卓
横浜国立大学大学院 都市イノベーション研究院 准教授

<プロフィール>
2000年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後、設計事務所勤務、東京大学助手・助教を経て、10年より横浜国立大学大学院准教授。11年より現職。
専門は、都市計画・都市デザイン、地域づくり、まちづくり。
都市空間の魅力と場の活力に関する研究及び実践に従事している。
伊豆の国市立地適正化計画、歴史的風致維持向上計画策定に関わる。
2019年より伊豆の国市政アドバイザーに就任。2015年、2019には研究室として伊豆の国市でシャレットワークショップを実施。
主な著書に「アーバンデザイン講座」「まちをひらく技術」「ストリートデザイン・マネジメント」(いずれも共著)などがある。

野原ゼミ ゼミ生
都市イノベーション学府建築都市文化専攻都市計画研究室
修士2年 塩濱宏己
修士1年 奥野慎、加治屋知志、近藤沙紀、林俊宇

◾︎伊豆長岡ミライ会議とは?

伊豆長岡温泉ミライ会議は、賑わいのある温泉場通りの再生を目指し、地域や自治体、民間事業者が連携してつくるエリアプラットフォーム(会議体)として設立されました。国土交通省による官民連携まちなか再生推進事業の採択を受け、温泉場の未来ビジョン「伊豆長岡温泉未来ビジョン」を策定し、大切な地域資源である温泉を守りながら、地域で暮らし続けられるコミュニティを目指し、「温泉のある暮らし」をテーマに賑わいづくり・まちづくりを進めています。

▼伊豆長岡温泉ミライ会議HP
https://izuspamirai.com/

今回はゲストに横浜国立大学大学院都市イノベーション学府都市計画研究室の野原ゼミの皆様をお招きしました。
これまで野原ゼミでは、「温泉駅とその周辺のまちづくりデザインを考える」をテーマに、まちづくりについて議論を交わしてきました。
その目的は「行政主導の都市計画」でもなく、「地域主導のまちづくり」でもなく、多様な立場の視点と、専門家の見地から、地域の実態に合わせた実行可能なビジョンを描く、ということ。
過去のワークショップで学生からは病院に来る人、温泉街・病院で働く人、伊豆の国で暮らす人をターゲットとして健康を中心とした憩いの場と食の空間を丸ごと提供する「KENKO-Platform」や、長期休暇にやってくる大学生をターゲットとして伊豆長岡温泉での研修や合宿を提案する「伊豆長岡温泉キャンパス」といった、新たなまちづくり案が出されています。

イベントでは野原ゼミの皆さんより今年度の活動成果発表を行った上で、参加者の皆さんといくつかのグループに分かれて、皆様と一緒にまちづくりのアイディアのブラッシュアップを行っていきました。

■野原ゼミのみなさんによる発表「地域のポテンシャルを活かしたまちづくりアイデアの提案」

今回の発表では、「地域のポテンシャルを活かしたまちづくりアイデアの提案」がテーマとなっています。
これは、地域をいくつかの視点で調査分析することで、地域のポテンシャルや課題を探り、それらを生かした今後の地域再生に向けた街づくりアイデアを提案するというもの。
過去には短期集中型でワークショップを実施してきましたが、今年度は通年での「まちなか再生研究」という取り組みを進めています。

対象となったのは、バスターミナルである「温泉駅」。この駅はかつて伊豆半島全域に運行していた定期観光バスの発着所であり、観光案内所兼発券場が設けられ多くの観光客でにぎわっていました。現在は定期観光バスの運行は無くなり、観光案内所兼発券場も閉鎖されました。しかしこの温泉駅は地域のバスターミナルであり、温泉街の入り口にもなっています。もちろん現在は利用者が少ない状況が続いていますが、伊豆長岡のまちなか再生を考える上で、この温泉駅は非常に重要な「まちなか拠点」になり得るのではないかという仮説が立てられました。
この仮説を基にして、今年度は温泉駅の今後の活用やありかたを「伊豆長岡温泉未来ビジョン」にあてはめながら、「こうなったら良いのでは」というイメージとアイデアを生み出す、という取り組みが進んでいます。

これまでの調査と取組の中で、83のアイデアが生まれてきた中、そのすべてを発表するのは時間的にも至難の業。

そこで今回はゼミ生のみなさんが選ぶ「推し」アイデアを「生活・健康・観光」の3テーマから各5つ発表してもらいました。

※今回のアイデアカード提案の検討につきましては、横浜国立大学都市計画研究室のみならず、都市計画コンサルタントの「株式会社オオバ様」と一緒に、協働で検討させていただきました。

①生活
 生活テーマでは、実際に伊豆長岡に住まう皆さんが快適に日々を送れるようなアイデアを紹介いただきました。例えば、伊豆長岡地域には図書館がないため、書籍の購入に加えてカフェや自習スペース、コミュニティスペースとして利用できるブックセンターの開設。
日替わりオーナー店舗を造り出すことで、地域の商いを育みたいとした「小さい商い工房」の設立など、実際に伊豆長岡で暮らしていく中で、地域の発展に寄与できるようなアイデアです。

②健康
 健康テーマでは、伊豆半島の救急医療を担う順天堂大学付属静岡病院が地域にあることを活かした「健康的な生活」が進むものや、思わず「こんな施設があるなら移住したい」コメントが飛び出すようなアイデアを紹介いただきました。
例えば、順天堂大学付属静岡病院という基幹病院までの道のりを活かした散歩道の整備。高齢者のコミュニティセンター×子育て支援センターという世代交流が気軽に行えるスペースの開設です。

③観光
 観光テーマでは、伊豆長岡をさらに楽しみ尽くせるアイデアを紹介いただきました。
例えば、自然的資源分布を調査した結果、観光資源ごとに距離のある状態を生かした足湯併設のツアーバス周遊の提案。さらに、近郊の学校向けにシェア型の合同研修・合宿センターを開設するといったものです。

発表された15個のアイデアはどれも伊豆長岡がより素敵な街になるための可能性を大きく秘めたアイデアです。本イベントにて紹介しきれなかった中にも、画期的なものが様々存在しているでしょう。
これらのアイデアから更なる発展が生まれるのが今から楽しみになりますね。

■グループワーク

野原ゼミのみなさんによる発表で、いくつものアイデアをインプットしたところでグループワークがスタートします。
今回のグループワークでは、野原ゼミの方が進行を担い、各アイデアについて参加者の「推しアイデア」や、「こんなアイデアだとさらによくなるのでは?」といった声を元にブレインストーミングを行いました。
参加者全員が主体となってアイデアを広げたり、アイデアに対して新たな視点での意見が出たりと、熱い時間となりました。

■まとめ

地域が発展するためには、観光だけでなく移住や、既住民へのサービスなど必要な要素が様々あります。
一視点にズームアップして検討することはもちろん重要ですが、複数の視点から考えることで、これまで思いつかなかった閃きを得ることが可能となることが分かりました。

こういったイベントを通して、さらなる伊豆長岡の魅力を発見すると共に、発展への道のりを切り拓いていきたい、それが私たち、伊豆長岡温泉ミライ会議の願いです。