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毎月第二日曜日に生まれるにぎわいの場。伊豆長岡温泉で開かれるお散歩市とは?

伊豆長岡駅からバスで10分ほどの場所に、温泉場出逢い通りという通りがあります。伊豆長岡温泉では、この通りで毎月第2日曜日に「お散歩市」という市が開かれており、温泉場出逢い通りにある旅館・南山荘を起点に多くのお店が出店しています。

地域のにぎわいや出逢いの場でもあり、旬の食材や旅館で使われなくなった食器、古本など、この地域ならではの商品が並ぶこの市は、毎月多くの地元民や観光客でにぎわい、まちに活気をもたらしています。2021年3月で早くも5周年を迎えました。今回は、そんなお散歩市の歴史や今後の展開についてご紹介したいと思います。

お散歩市の歴史~5年間の変遷

伊豆の国市の観光基本計画を考えるワークショップの中でアイデアが出され、2016年に地域の薬局さんである、あやめ薬局さんの旗振りで第一回お散歩市が開催されました。元々温泉街の活性化を目的としていたため、日曜日の午前中にお客様がチェックアウトするタイミングで寄ってもらえるように、また旅館さんもチェックアウト後少し手が空くということで、日曜日の午前に開催されるようになりました。

その後代表が現在の伊豆長岡温泉ミライ会議の鴨下さんにバトンタッチされ、お散歩市2年目の2017年12月からは、温泉場のシンボルにもかかわらず休館のためベニヤ板で正面を閉鎖されていたものを借り上げ、お散歩市やその他イベントの会場として活用をはじめました。現在では南山荘の中も市の場所として開放され、訪れた人々でにぎわっています。

出店店舗数は、始めた当初10数店舗からスタート。そこから徐々に店舗数が増え、5年目の現在では40店舗程が出店しています。出店店舗の増加と合わせて、5年間で来場者数も増加しています。当初の来場者は温泉場の周辺のお客様のみでしたが、地道な広報や口コミに加えFMいずのくにと連携した現地サテライト放送などをきっかけに函南や三島方面から来るお客様も増えました。「ラジオを聴いてきました!」といって来場される方も多くなり、少しずつ来場者の範囲を広げています。

お散歩市で行われる3つの取り組み

お散歩市では、古紙回収や高齢者の居場所作り、E-BIKE周遊など、地域企業・団体や大学生と連携した取り組みも行っています。

1.コアレックスによる古紙回収
手作りマーケット、地場産品の市場と併せて、コアレックス社による古紙回収も行っています。不要な紙類を開催時間内に持参すると、古紙 4Kgにつき、トイレットペーパー1個と交換するという取り組みです。この巻紙(包装紙)は地域の障害者団体が手がけてくれており、障害者のご家族や関係者の協力が大きかったです。

お散歩市は、「あらゆる再生をテーマにしたリ・イノベーションマーケット(Re-Innovation-Market)」であるということも意図しています。古紙の回収はもちろん、温泉旅館で出た食器、古本など、使わなくなったけど大事に使われてきたものをもう1回新しい持ち主に返していく、といった意識を大切にしています。そういった中で、地域の魅力を再発見して、地域が再生していくというコンセプトに基づいた活動です。

2.赤とんぼ主催による高齢者の居場所づくり
伊豆長岡は、「元気な高齢者が働く、手に職をもったり自分のやりたいことをしながら、支えあって生涯暮らし続けられる町」を目指しています。

これはアメリカ発の考え方「CCRC(Continuing Care Retirement Community)」をベースに日本でも住み慣れた町で暮らしつづけられる仕組みづくりとして「地域包括ケアシステム」をベースに「生涯活躍のまち」構想として位置付けられており、全国で取り組みが始まっています。伊豆長岡温泉でも、この考え方をベースに2018年4月より南山荘にて官民連携のまちづくり、高齢者の居場所づくりを進めています。

現在、南山荘ではお散歩市のあとカラオケをしたり、多様な世代の勉強会をしたりといった活動が展開され、平日でも地域サークルが開かれるなど民間の公民館のようにコミュニティ形成の場となっています。南山荘での和気あいあいとした雰囲気がガラス越しに温泉場出逢い通りにも伝わり、地域に明るい空気が流れるようになりました。

3.大学生とのE-BIKE周遊プロジェクト
伊豆長岡温泉がある伊豆の国市には様々な観光名所(世界遺産、国宝の仏像、自然豊かな景観)やアクティビティ(いちご、みかん狩りなど)があり、観光スポットをめぐる人が多いのが特徴。そこで、E-BIKEで伊豆の国市の観光名所やアクティビティを周遊できれば新たなコンテンツになるのではないか?ということで、E-BIKEを活用した社会実験を開始しました。伊豆半島の豊かな自然環境を観光地として保全と活用のバランスを取りながら進めていくために、環境の負荷も低く、海あり山あり里山ありの伊豆の地形でも健康的に周遊が可能なE-BIKEを活用し、公共交通機関を含めた様々な官民連携を進めていきます。

今後の展開について

今後はお散歩市の取り組みを中心に「自分たちの暮らすまちは自分たちで創る」をテーマに、お散歩市による休日のわかりやすい賑わいだけでなく、賑わいが継続する仕組みや組織づくりなど、周辺のまちづくりや地域活性化の取り組みと連携していきたいと考えています。

2021年度は伊豆長岡温泉ミライ会議の関係者がまちづくりの組織(法人)を設立予定ですので、お散歩市の事業を中心に、伊豆長岡温泉の活性化として周辺の地域資源と連携し宿泊客を増やしていく取り組みも計画しています。

さらに公共施設の活用として、空いてる施設や公園を活用、キッチンカ―を組織化し市内の公園に出店することも考えています。キッチンカーの設置地域を三島や函南、沼津の方にも展開し、お散歩市の拡大と周辺地域の活性化を進めていきます。