2020年11月、伊豆長岡温泉ミライ会議では新たな取り組みとして地域課題解決型ゼミ「伊豆長岡温泉大学」を開始。11月18日(水)には、東京会場と伊豆長岡会場を繋いだオンラインイベントを、12月12日(土)・12月13日(日)には、東京・神奈川など県外在住の方々を対象としたフィールドワークを開催しました。
今回は地域課題解決型ゼミ「伊豆長岡温泉ミライ大学」の紹介やオンラインイベント・フィールドワークの様子をお届けしていきます。
地域課題解決型ゼミ「伊豆長岡温泉大学」とは?
「伊豆長岡温泉ミライ大学」は、2020年11月に伊豆長岡温泉ミライ会議が新たに立ち上げた地域課題解決型ゼミです。
2020年5月末に設立された「伊豆長岡温泉ミライ会議」は、市役所や観光協会、民間企業や温泉旅館など16の団体(2021年3月末で22団体が参加予定)で構成されています。今年度は「まちづくり・観光・コミュニティ」の3つの部会に分かれ、道路空間や遊休不動産の活用やE-BIKEによる周遊等の各種社会実験に取り組み、度重なる議論を経て、伊豆長岡温泉が目指す「未来ビジョン」を策定しました。
100年後の伊豆長岡温泉の未来を見据え、みんなで考え、具体的な取り組みを進めていくにあたり、伊豆長岡温泉で暮らす人・働く人、学生、出身者など、地域内外の人が本気で地域の課題を解決するために開設されたのが、地域課題解決型ゼミ「伊豆長岡温泉ミライ大学」です。
伊豆長岡温泉ミライ大学は、自治体や地元組織、企業とも連携して、社会を変える取組を進めています。
都心にいながら温泉街の賑わい作りに挑戦。オンラインイベント 開催。
11月18日(水)、伊豆長岡温泉ミライ大学として最初の取り組みとなるオンラインイベントを実施しました。
伊豆長岡温泉にある「小松家八の坊」と東京都品川区にあるコワーキングスペース「ザ・パークレックス天王洲 [ the DOCK ]」 の2会場同時開催。
「東京にいながら地元・静岡の話が聴けるので参加しました。」という静岡県出身者や、数々の関係人口創出プロジェクトを手がけてきた方、自分の地元の活性化を目標に地域での実践経験を積みたい方、子供と一緒にワーケーションできる地域を探している方など、様々な視点の参加者が約20名が参加しました。
イベントの前半では、伊豆の国市 伊豆長岡温泉活性化アドバイザーである今井 裕久より、伊豆長岡温泉の課題やこれまでの取り組み、そして伊豆長岡温泉ミライ会議が進める社会実験等の報告を実施。東京会場では、投影される細かい数字や取り組み事例を丁寧にメモを取ったりする参加者の姿が印象的でした。
後半は、伊豆長岡温泉ミライ大学のメンバーとしてイベントの企画・運営を担当している株式会社トレジャーフットの田中 祐樹より会社紹介や12月フィールドワークのご案内、そして現地のプロジェクトパートナーである伊豆長岡温泉旅館協同組合 理事兼宣伝委員長の望月 敬太、伊豆の国市地域おこし協力隊の小山 和志の2名からも、現在の活動について報告を行いました。
オンラインイベント終了後、東京会場と伊豆長岡会場をしばらく繋いだまま意見交換や交流が行われ、参加者からは様々な声が寄せられました。
<参加者の声> ※一部抜粋
・伊豆長岡温泉に宿泊した経験があるが、観光スポットが少ない印象(40代・女性)
・子供と一緒にワーケーションできる場所があるとぜひ行ってみたい(40代・女性)
・修善寺など近隣の観光地の印象が強く、「伊豆長岡温泉」を調べようと思わない、そもそも認知の問題?(20代・女性)
・カフェなど若い人が行きたくなる場所があれば家族旅行の選択肢に入りやすい(40代・女性)
・三島まで行ったことはあるが、日帰りで行けてしまうのであえて泊まろうと思わなかった(20代・女性)
・ドラマや映画、漫画などの聖地巡礼で旅先を決めることが多い(20代・女性)
・北海道の余市では、朝ドラ「まっさん」の影響で年間を通して観光客が急増。一過性ではなく現在もその人気が継続している。小樽まできている観光客を引っ張り込むきっかけになった。大河ドラマで同じ効果が出せるのでは?(40代・男性)
補助金に頼らないまちづくりを考える。1泊2日のフィールドワーク開催。
オンラインイベントを経て、12月12日(土)・13日(日)には「補助金に頼らないまちづくり。持続可能な事業を作る」というテーマのもと1泊2日のフィールドワークを開催。当日は、地域ブランディングやPRなど様々なスキルをもつ東京・神奈川など首都圏在住の方々が10名ほど参加し、E-BIKE周遊やお散歩市、地域の方々とのディスカッション等を行いました。
1日目:豆長岡温泉を知る
コナステイ伊豆長岡のラウンジを借り、参加者の自己紹介からスタート。大学時代から地域ブランディングを学んでいるフリーランスの女性や、仕事で大分県別府市や山梨県富士吉田市等の地域づくりに取り組んでいる男性、伊豆長岡温泉出身で都内の企業に勤務しながら地元との関わり方を模索している男性など、様々な視点から「伊豆長岡温泉」に関心のある方々が集まってきました。
1日目のテーマは「伊豆長岡温泉を知る」
午前は伊豆の国市 伊豆長岡温泉活性化アドバイザーである今井 裕久から、伊豆長岡温泉の基本情報や歴史、現在の課題や各種社会実験について説明を行い、午後から社会実験の一つであるE-BIKE周遊を体験。
コナステイ伊豆長岡からE-BIKEに乗って出発。
南山荘や温泉駅、温泉場出会い通りにある射的屋、芸者さんの稽古場に立ち寄り、伊豆長岡温泉の歴史や文化に触れました。
源氏山の山頂へ続く坂道を前に、参加者からは「自転車で登れるの?」と不安そうな声もありましたが、いざ登り始めるとE-BIKEの本領発揮であっという間に山頂に到着。坂道の多い地域におけるE-BIKEを活用した新たな観光の可能性を改めて感じました。
E-BIKE周遊の後は、フィールドワークを通して感じた地域の魅力や課題、そして伊豆長岡尾温泉に関わる交流人口・定着人口・周遊人口・滞在時間を増やすための具体策を議論しました。
<参加者の声> ※一部抜粋
E-BIKEはガイドさんがいれば活用したいが、スマホで道を調べながら自分たちで回るのはなかなか難しい。自転車にスマホが設置できるようにするか、個人でもガイドをお願いしやすい仕組みがあると活用しやすい。(30代・女性)
伊豆長岡温泉は十分コンテンツがあるので、新しい何かを創るのではなく、今いる人・今ある場所を活かした方が良い。(30代・男性)
観光よりももう少し深く地域に入り込みたい。フリーランスでよくワーケーションにいくことがあり、観光ではなく日常を体験できるコンテンツや、ニューファーマーに話を聞きに行ける機会があると、より地域を知ることができる。(20代・女性)
ワーケーションなど中長期滞在用の宿泊プランを作り、子供と一緒にワーケーションに来れるような仕組みがあると訪問先の選択肢に入ってくる。(30代・男性)
有名な観光地は一度いくだけで満足してしまいリピートしにくい。もっと人の顔が見えるコンテンツ、例えば、地域の人を紹介するカードを宿泊施設等に設置し、気になるキーワードを選ぶとそのキーワードにまつわる人の情報が知れて、会いに行ける。次もまたあの人に会いにいこう、次はまた別の新しい人のところも訪問してみようと、リピートするかも。(30代・女性)
参加者の大半が伊豆長岡温泉は初訪問。初めてだからこそ気づく地域の魅力や課題、そしてそこに参加者それぞれのスキルや経験を掛け合わせた新しいアイディアや意見が出ました。
2日目:伊豆長岡温泉を考える。
2日目の午前中は、3月で5周年を迎える温泉場お散歩市を見学。今回のお散歩市では、道路空間の活用として片側通行を実施。歩行者の安全確保と同時に、吹奏楽の演奏を立ち止まって楽しむこともでき、新しいお散歩市の取り組みを体験することができました。
参加者からは「地域の方だけで5年間継続し、回を重ねるごとに発展している素晴らしい取り組み。学生も巻き込んで賑わいが生まれていて、地域の中から地域を盛り上げる熱量を感じる。」と言った声も上がりました。
2日目の午後は、2日間のインプットをもとにアイディアソンを実施。1日目に引き続き、伊豆長岡温泉の交流人口・定着人口・周遊人口・滞在時間を増やすための具体策を議論し最終プレゼンテーションに向けた準備を行いました。
2日間を通して見えてきたキーワードは、「人×発信」。伊豆の国の「人」と「営み」の
リアルを見せる継続的な活動を通して、地域との関わりに興味を持っている人や暮らしまつわるリアルを知りたい人が、自分ごと化させる体験を提供していく必要があるという結論にいたりました。
具体的には、人(農家・旅館)×仕事×旅行がパッケージになった体験プログラムを提供するWEBサイトを構築。関わり方の多様性/選択肢があることを伝え、ツアープログラムやオンライン説明会、旅先・人の情報も掲載。伊豆の国市に繰り返し訪れる人を増やすことで、地域で一緒に企む人・関係者を増やしていくというアイディアが出ました。
今後の伊豆長岡温泉ミライ大学
12月のフィールドワークで出たアイディアを実行していくにあたり、まずは伊豆長岡温泉ミライ会議のWEBサイト上で、伊豆長岡で働く人・暮らす人を紹介する記事を連載することで、人の顔が見える情報発信を行っていきます。
また伊豆長岡温泉ミライ大学の仲間を募るためのオンラインイベントや、外部の視点を取り入れるためのフィールドワークの実施、そして集まった仲間と地域課題の解決に向けた各種取り組みを進めて参ります。